自動巻時計のパワーリザーブ編。

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 機械式時計のスペックにある「パワーリザーブ」とは100%ゼンマイを巻いた状態から(自動巻なら時計を腕に巻かず)何時間作動するかということです。
 時計の精度はゼンマイから供給されるトルクの安定度に影響されます。ですからトルクが弱くなるパワー供給が不安定になるゼンマイが戻りきる前何時間の状態、インジゲーターでいうレッドゾーン(デザイン上赤くしてないものも多いですが)、ここで使わないというのが上手な使い方と言えます。

 ちなみにメーカー出荷の際は100%と50%のポイントで最も精度が出るように調整しているようです。ですからこの間でお使いになればお持ちの時計の性能を最大に引き出すことになるはずです。日常では、通常インジゲーターがついていれば別ですが、今のゼンマイの状態は?と意識し続けるのはやっかいな話で、多くの方は止まらなければ良しといった感じでお使いになっているのではないでしょうか。

 取り説には最低装着時間が記載してありますが、日常では、長時間のキーボードのディスクワーク、長距離のオートマチック車運転時など腕に装着していても意外に巻き上げていないシーンも多々あります。(勘違いも多いわけです)
 結果的に世間一般で「あの時計は良い」といった漠然とした評価を老若男女にうけている機械式時計のスペックを紐解いてみると、巻き上げ効率が良く、パワーリザーブが長め(レッドゾーンで使用する確率が低い)といったことがあてはまるようです。
 
 お気に入りの時計のスペックを理解して、この時計はこう使うといった、ポイント「くせ」みたいなものを見つけて性能を引き出してあげる使用法は正しい使い方ですし、機械式時計が一般的・ファッション的になってきた今日この頃では、ワンランク上のつき合い方と言えると思います。
 「くせ」といえば姿勢差というのもありますね…。

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自動巻時計巻き上げ機・ワインダーについて

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初めてワインダーなるものをカタログで見たのは1990年頃、イタリアのスカトーラデルテンポ社のもので、ワインダー自体が高価で、サンプルでセットされていた時計も高価な永久カレンダーモデルでした。とまっちゃうと意味ないからこういうものが必要なんだと理解していました。(アランシルベスタインのパーペチュアルカレンダーモデルはこのボックスが付属でしたね。)

現在は中国製のお手頃モデルが数多く登場して普及に一役買っているようです。
自動巻の時計は、止まっていたらリューズでゼンマイを少し巻いて腕につける、それは正しい使い方ですが、もともと自動巻キャリバーは、リューズでゼンマイを巻くのは専門ではないので毎日その方法で巻くことは機械に優しいやり方とは言えないようです。(巻き上げはゆっくり、やさしくやりましょう)またネジ込み式のロックの場合、毎日解除ーロックを繰り返すのでパッキンの摩耗・劣化で交換時期が早まることにつながるようです。

あるショップで展示されている自動巻の時計がすべて動いていたので、聞いてみたら店員のかたが「はい、毎朝リューズを巻き上げております。大変でございます。」と丁寧にお答えになりました。(ご苦労様^^;)

自動巻時計をもし止めたくなければ、ワインダーで巻き上げるのはいい方法でパーペチュアルカレンダーは(必需品)ムーンフェイズなんかも便利ですね。ただ長期に渡ってワインダーにセットしっぱなしというのも考え物です。

お世話になっている時計師の方にお聞きしたら、ワインダーが普及して、ワインダーで使わない時計を毎日回してくれるのは、われわれにオーバーホールの依頼が増えるつまり仕事が増えて嬉しいです。と冗談ぽっく話されました。しばらくお使いにならないのであればコレクションボックスに止まった状態で保管されれば良いと思います。
オーバーホールの時期を見極める時に一定時間セットして精度やパワーリザーブ・巻き上げ効率をチェックするのもワインダーの有効かな使い方のひとつかなぁと思います。

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