正しいお付き合い方。」カテゴリーアーカイブ

汗を含んだレザーストラップのお手入れ……!?

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drybox

そろそろ汗ばむ季節になってきましたが、レザーストラップに大敵なのは水分です。汗が染み込んだままの状態でストラップを放置するのは、革の寿命や衛生的にもよくありません。水に濡れたり、汗を含んでしまった時は、布で水分を拭きとって陰干しというのが常套手段ですが、その場合出来れば時計本体からストラップを外したほうがベターです。毎日となると少々面倒で、バネ棒外しをお持ちじゃない方もおられます。

そこで、写真のような乾燥ボックスはいかがなものかと先日から試しています。「浜乙女 てりやき」の食べ終わったケースです。(別にこの銘柄じゃなくてもいいかもしれませんが、他は試してませんのでとりあえずコレ^^; 味もいいので個人的にオススメです。)最後の1枚までパリっとしていたので、このケース優れもんじゃないかと思ったわけです。
食べ終わった後、海苔の粉と匂いを取り除けば、ちょっとした乾燥ボックスの出来上がり。粉はともかく、匂いは結構強力ですが、消臭スプレーと時間をかけて無臭まで行きました。
夜、時計を外したら「お疲れさんと」ケースに収納、(汗がひどい時は、軽く拭いてからが良いと思います。)翌朝、気持よく装着。

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セイコー鉄道時計 SECOND・SETTING・DIAFLEX(1960’s)

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 先日、修理でお預かりしたセイコーの手巻き式・鉄道時計です。
誤って落下した際に、テンシンが折れてしまったようです。
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 この時計が活躍していたのは1960年代〜70年頃、クォーツ式に変わるまで日本の鉄道で重要な役割を使果たしていた時計です。鉄道の発達と時計の発達・普及には密接な関係があった時代です。船や飛行機、列車といった乗り物と時計の関係は興味深いものがあります。
 この時計のオーナーは、中年の女性の方で、コレクションとかではなく、普段、携帯してご愛用になられていて、愛着も有り、これじゃないとだめなので、どうしても修理したいとのことでした。
 信頼している修理工房に依頼したところ、オリジナルのテンシンを見つけてくれて、めでたく修理が完了しました。
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 大きなテンワ、巻き上げ式のヒゲが時を刻む姿は、機械式の迫力を感じます。
 この時計には、鉄道時計らしい機能がついています。SECOND SETTINGというもので、時間調整の際にリューズを引くとスモールセコンドは、そのまま動き、0秒で自動で止まるハック機構です。普通、ハック機構がある時計の秒針を合わせる場合、タイミングよく0秒に秒針が来た時にリューズを引くわけですが、タイミングを逃すとまた次のタイミングまで待たなければなりません。当時、時刻合わせが日課だったはずの鉄道員さんにとって、きっとなくてはならない機能だったと思われます。

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ステンレスブレスに汚れをためてはいけない訳。

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 ご愛用のブレスのコマの隙間に黒い汚れが付着してませんか?
 丈夫なステンレス製のブレスやケースも日常での汚れの蓄積によって腐食して、破損・変形してしまうことがあります。

  ステンレスは、表面が直接空気中の酸素と触れると、ステンレスに含まれるクロムが酸素と結合して均一で薄い化学的に安定した「酸化防止皮膜」を再生します。これによって錆びにくいという素晴らしい特性を発揮します。でもせっかくのこの特性も、汚れの蓄積の為にステンレスの表面が空気にふれることが出来なくなると「酸化防止皮膜」ができず腐食がはじまり、最終的に破損となるのです。フォルディングバックルもしかり。
水分(汗・雨)→ホコリ→粘土状の汚れ→蓄積、このサイクルにならにように、乾燥をキープし清潔を保ちましょう。
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 ついてしまった汚れは、店頭では、超音波洗浄機、豚毛ブラシで汚れをかき出しますが、ご自分でお手入れされる時は、軽度なら消毒ようアルコールで拭いて、できればエアダスターで飛ばすぐらい、汚れが多い時は、ブレスを本体から外して、お湯を入れてたコップに中性洗剤を2〜3滴落として、ブレスを浸しその後、ブラシング(豚毛ブラシ:写真がおすすめ)洗浄の後は、調整コマのネジ穴や隙間、バックルのウラ側など、水分が残らないように乾燥させてください。スプレーのエアーダスターでプシュっと水分を飛ばすのは有効です。

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ダイヤル(文字盤のウラ側)

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 写真は、文字盤を裏返ししたものです。2つ出ている突起は、文字盤の足とよばれるもので、この突起が、ムーブメントの地板に入って文字盤が固定されています。ご覧の通り小さくて華奢なものです。これが衝撃や腐食などが原因で折れることがあります。防水性が高い時計から丈夫だと思い、少々荒っぽい使い方をされる傾向がありますが、衝撃は、別のような気がします。
 衝撃はムーブメントにも悪い影響をあたえますが、ダイヤルの足が折れると、結構厄介です。普通は、ダイヤルの交換になります。国内のアフターサービスに部品の在庫があれば、そう時間はかかりませんが、スイスオーダーとかになると2〜3ヶ月位かかることもあります。 また特殊なダイヤルや、古いモデルなど部品が入手困難な場合もあります。また程よく経年変化をしていた場合交換を躊躇せざる得ない場合もあります。その場合、可能であればロー付けや足を作っての修理になります。
 一旦見積りがでて、分解を進行しているうちに、足が折れているのが発覚して(かくれ骨折)、見積にダイヤル部品代があとで追加される場合もあります。
 いづれにせよ、足は折れないほうが良いですので、落下、衝撃にはご注意ください。

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バネ棒について….?考察とあげくの果てに妄想。

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  先ほどストラップを交換されたお客様が、この中にスプリングが入ってるんですね。と不思議そうに一言、そういわれれば、そうですね。
ストラップやブレスの脱着をご自分でやったことのある方ならご存知のパーツ、バネ棒くん。敬意と親しみを表して”くん”づけさせていただきたい。
 
 バネ棒くんは、細いバー中にスプリングが入っていて、そのバネのテンションを利用して、ストラップやブレスが取り付けられるわけです。このバネ棒くんのお陰で、ストラップを簡単に交換できるわけで、その脱着の簡単さの割には、外れることも少ない。これがなければ、モレラートもバンビもないのではないかと思うほどです。(笑)尾錠側を入れて普通時計1個に対して3人のバネ棒くんのお世話になっている訳です。
 
 手巻が自動巻きになっても、クォーツになっても、電波時計になっても….、バネ棒くんに変わるものは、現れていない、この偉大なバネ棒くんを最初に作った会社はどこで、誰が考案したものなんでしょうか。スイスにはバネ棒の専門工場は存在するのでしょうか?マニュファクチュールといわれるブランドでも自社でバネ棒までも作っていますというのは聞いたことないですし….。
ご存知方おられたらご一報を。
「重要」
・バネ棒くんには、ラグの幅、タイプに合わせて色々な長さ、太さ、種類があります。
・防水の時計はあっても、バネ棒くんには防水タイプはいません。

「妄想」
ネジ留め式のものやアンティークで見られるラグにバーがつながっているタイプを除くと、殆どの時計が、ブランド、「金額」に関係なくこのバネ棒くんのお世話になっています。決して表に出ることはない(モデルによっては頭だけ出してるものもありますが、この種をバネ棒くんの仲間うちでは、どう言ってるかわかりませんが、)その存在は、完全なる裏方。しかも悲しいかな消耗品、世の中で例えたら何になるでしょうか?(悲しすぎる)

  世の中に、針供養なるものがあると聞いていますが、働き終えたバネ棒くんを供養そして感謝する日があっても良いのではないかと妄想する始末。今や誰も知らない(そうでもないか)イマイチ盛り上がりにかける「時の記念日」より本当にお世話になっているバネ棒くんを奉る「バネ棒の日〜バネ棒くん感謝Day」(仮称)のほうが、輸入時計、国産時計、ブランドの垣根を超えてみんなで盛り上がれ、時計を腕に巻く意味について考えることができるかも。
 とある所に存在するバネ棒神社に、全国の時計屋、時計職人、時計愛好家が役目を果たしたバネ棒くんを片手に集まってくる光景が目に浮かぶ(笑)

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ネジ込み式ロックを持つ防水の時計。

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防水性モデルで、使用されているねじ込み式ロック、このロック方式は、ネジ溝に摩耗、損傷があると規定の防水性が確保できなくなります。(閉め忘れは問題外です^^:)リューズ側のネジ山に問題がある場合は、リューズを交換のメンテナンスになりますが……
今回コンプリートサービスでお預かりしたハミルトンH776550は、ハミルトンカスタマーズサービから、ケース側のリューズ固定チューブのネジ溝の損耗のためミドルケースの交換という見積もりが出ました。コンプリートサービスにミドルケース交換代金が加算されユーザー様には予定外の自体になりました。このモデルは、20気圧防水でネジ込み式ロックのリューズが3つありその内の一つに問題がありました。

さらにコメントとして

「パーツは、スイス発注となり、入荷作業期間を含めて2〜3ヶ月を予定していますが、(部品)在庫状況、代替部品での入荷、部品製造中止等で内容、期間を変更させてて頂く場合があります。」
とありました。進行のご了承を頂き、約2.5ケ月を要し、幸い代替部品、部品製造中止の事態にはいたらず昨日出来上がって来ました。
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メーカー修理の場合、交換した古いパーツは、偽造防止のため返してくれないいケースが殆んどなのですが、今回交換したインナーケースが戻ってきました。見積もりにはインナーケースと書いてありますがそれは、裏蓋以外リューズを含むケース全体でした。お客さまにとっては出費はかさみましたが、逆にパーツストックが、ある間に、防水性が完全に復帰した修理が出来て、良かったと思います。今後も、安心してお使いになれます。

今回ここに、この事例を上げさせていただいた大きな理由の一つに、添付されていた伝票に下記のようなコメントがあり、ネジ込み式ロックモデルお使いの方に是非お伝えしたかったからです。ご存じの場合でも、つい、やってします場合がありますので。

「(前文省略)〜リューズのネジ込みは、まっすぐに、そして途中で違和感が認められた場合には、一旦緩めた後、再度ネジ込み直してください。」
ネジ溝を損耗を防ぐために、大事に至らないために、覚えておいて損はないと思います。

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時計の傷……メーターが教えてくれた、A Valuable dent(カーズ2より)

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突然ですが、カーズ2はご覧になりましたか?レッカー車のメーターが、ボディーの凹みの修理をすすられますが、この凹みには親友との思い出があるから、このままににしておくよ、これは貴重なんだ…..というくだりがあります。メーターは、親友がつけたキズを価値ある思い出として大事にしています。真の友情をうまく表現していると思いました。
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昨日、リングをクリーニングいしましょうと、お客様にお声をかけると「もう30年以上もつけてますから」っと外されたリング、それをよく見ると全体に傷が入り、うっすらと彫りの模様が見えました。もともとは全体に模様がエングレーブされていたリングのようです。以前なら、親切のつもりで、ここまで彫りが薄くなったら、さっとポリッシュして綺麗にしましょうか?というところですが、容易にポリッシュをおすすめする気になれませんでした。メーターのセリフのせいでしょうか。

自分の時計にも、思い出の旅行でついたキズがあります。
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